サムネイル画像:作画引用・出典 キングダム 11巻(原 泰久) 集英社
輪虎と激戦を繰り広げる信
漫画「キングダム」で繰り広げられる全ての戦闘シーン(はじまり~合従軍編まで)を回顧!
あの激戦から感動の名シーンまで全巻から全ての戦いを紹介。
敵も味方も想いを乗せて戦う武将達。一騎討ち。勝利。討死。移ろい続ける群雄割拠の時代に生まれた全ての戦闘シーンを信少年時の一巻から最新巻まで余すことなく紹介します。主人公である信(しん)をはじめ王騎(おうき)、龐煖(ほうけん)、麃公(ひょうこう)、蒙武(もうぶ)、廉頗(れんぱ)など歴史を彩る数々の名将が繰り広げる戦い57戦(更新時現在 コミック57巻まで)のうちはじまりから合従軍編までをストーリーに合わせて紹介します。
※合従軍編以降の戦いは【キングダム 全勝負②】ALL戦闘シーン57戦を最新まで紹介![鄴攻略編まで]をご覧ください!
※原則決着した戦いをピックアップしていますが、重要な伏線となる戦いや、引き分けでも影響の強い戦いは紹介しています。
※物語のあらすじと共に紹介しているのでネタバレを含みます。
- 1. 王弟反乱編 全勝負(1巻-5巻)@秦国王宮
- 2. 信・初陣編 全勝負(5巻-7巻)@蛇甘平原
- 3. 政暗殺編 全勝負@秦王宮(8-10巻)
- 4. 対趙 馬陽攻防編 全勝負@馬陽(11-16巻)
- 4.1. 11:○ 秦国 将軍「蒙武」vs 趙国 千人将 「剛乱」× @馬陽(12巻)
- 4.2. 12:○ 秦国 百人将「信」vs 趙国 将軍「馮忌」× @馬陽(12巻)
- 4.3. 13:△ 秦国 百人将「信」vs 趙国 三大天「龐煖」△ @馬陽(13-14巻)
- 4.4. 14:○ 秦国 六大将軍「王騎」vs 趙国 将軍「渉孟」× @馬陽(14巻)
- 4.5. 15:× 秦国 六大将軍「王騎」vs 趙国 三大天「龐煖」○ @馬陽(15-16巻)
- 4.6. 16:○ 秦国 百人将「信」vs 趙国 副将「魏加」× @馬陽(16巻)
- 4.7. 17:○ 秦国 副官「騰」vs 趙国 将軍「趙荘」× @馬陽(16巻)
- 5. 対魏 山陽攻略編 全勝負@山陽(17巻 – 23巻)
- 5.1. 18:△ 秦国 三百人将「信」vs 魏国 将軍「輪虎」△ @山陽(19巻)
- 5.2. 19:× 秦国 臨時千人将「信」vs 魏国 将軍「玄峰」○ @山陽(20巻)
- 5.3. 20:○ 秦国 将軍「桓騎」vs 魏国 将軍「介子坊・玄峰」× @山陽(20巻)
- 5.4. 21:△ 秦国 臨時千人将「信・王賁・蒙恬」vs 魏国 将軍「輪虎」△ @山陽(20-21巻)
- 5.5. 22:△ 秦国 将軍「王翦」vs 魏国 将軍「姜燕」△ @山陽(21巻)
- 5.6. 23:× 秦国 将軍「栄備」vs 魏国 将軍「輪虎」○ @山陽(21巻)
- 5.7. 24:○ 秦国 臨時千人将「信」vs 魏国 将軍「輪虎」× @山陽(22巻)
- 5.8. 25:△ 秦国 大将軍「蒙驁」vs 魏国 大将軍「廉頗」△ @山陽(22巻)
- 5.9. 26:○ 秦国 将軍「桓騎」vs 魏国 総大将「白亀西」× @山陽(22巻)
- 6. 河了貂の合流など幕間 全勝負@山陽(23-24巻)
- 7. 対合従軍 合従軍侵攻編 全勝負@函谷関・蕞(25巻 – 33巻)
- 7.1. 31:× 秦国 騰軍軍長「同金」vs 楚国 将軍「臨武君」○ @秦国南部(25巻)
- 7.2. 32:× 秦国 騰軍軍長「鱗坊」vs 楚国 千人将「白麗」○ @函谷関(26巻)
- 7.3. 33:○ 秦国 将軍「騰」vs 楚国 将軍「臨武君」× @函谷関(26巻)
- 7.4. 34:○ 秦国 千人将「信」vs 趙国 将軍「万極」× @函谷関(27巻)
- 7.5. 35:○ 秦国 大将軍「張唐」vs 韓国 大将軍「成恢」× @函谷関(28巻)
- 7.6. 36:○ 秦国 将軍「蒙武」vs 楚国 大将軍「汗明」× @函谷関(30巻)
- 7.7. 37:× 秦国 大将軍「麃公」vs 趙国 三大天「龐煖」○ @武関先の南道(30巻)
- 7.8. 38:○ 秦国 千人将「信」vs 趙国 三千人将「傅抵」× @蕞(31巻)
- 7.9. 39:△ 秦国 千人将「信」vs 趙国 三大天「龐煖」△ @蕞(33巻)
王弟反乱編 全勝負(1巻-5巻)@秦国王宮
下僕ながらも天下の大将軍を夢見る主人公「信」と幼馴染の「漂(ひょう)」。ある日、2人が剣の訓練をしているところを通りがかった王宮の文官である昌文君(しょうぶんくん)から漂へ仕官の打診がくる。
下僕が王宮に仕官するなど考えられない時代、その真相は秦王である嬴政(えいせい)と生き写しであった漂を影武者として利用するため登用したのだった。
そんな漂が信の目の前に瀕死の状態で現れる。漂は死に際に共に天下の大将軍に成り上がろうと信へ告げ、黒卑村の川の合流地点の地図を信に託し絶命する。
1:○ 秦国「信」vs 朱凶「徐完」× @黒卑村(1巻)
信は漂の地図を頼りに川の合流地点で嬴政と出会い、嬴政の暗殺をするため追走したきた暗殺者朱凶(しゅきょう)の徐完(じょかん)と相見える。
人生で初めて敵と闘うこととなった信だが、漂との訓練で得た強さと、政の檄に覚醒し朱凶徐完を斬り伏せ致命傷を負わせる。徐完は信へ命乞いをするが、政がトドメを刺す。
【レビュー】
初めての実践にして強敵を打ち破った少年の強さに、信の強さの可能性を感じさせる一戦であった。
2:○ 秦国「信」vs 越(ベッサ族)「ムタ」× @秦王の避暑地(2巻)
黒卑村で出会った河了貂(かりょうてん)と共に、信と政は政の家臣である昌文君との合流地点としていた秦王の避暑地にたどり着いた。
そこへ新たな刺客であるベッサ族のムタが襲い掛かる。ムタの殺気に押される信であったが政の檄を受けムタの殺気に打ち勝ち致命傷を与える。
ムタが絶命の際に政を毒吹き矢で殺害しようとした瞬間に合流した昌文君に斬り伏せられる。辛うじて生きており河了貂はムタの吹き矢を手に入れる。
【レビュー】
満身創痍で秦王の避暑地に辿り着き休息も束の間ムタに急襲されたものの返り討ちにした信の個の強さのポテンシャルを感じさせる一戦だった。
3:○ 秦国「信」vs 秦国 高級武官「左慈」× @秦王宮 右龍の回廊(4巻)
朱凶やムタの襲撃は、丞相竭氏(けつし)が主導し王弟「成蟜(せいきょう)」が引き起こしたクーデターであった。
道中で楊端和(ようたんわ)率いる秦国の西にいる異民族である山の民を味方につけ王宮に戻った信と政。王宮の朱亀の間まで辿り着いた一行のうち信と河了貂、壁は本殿にいる王弟成蟜を討ち取るためが右龍の回廊を進むが、そこには竭氏配下の高級武官左慈(さじ)が待ち受ける。
山の民を次々と斬り捨て、壁に深手を与えた武力で上回る左慈に苦戦し太刀を受けながらもカウンターで一閃を見舞い斬り伏せる。
【レビュー】
下僕の少年だった信がこれまで闘った朱凶やムタなどと違う正統派の武力を持つ左慈をも返り討ちにしたことで、この先将軍への道を歩むであろう信の可能性を見通す一戦となった。
4:○ 秦国「信」& 山の民「バジオウ・タジフ・シュンメン」vs 秦国 「ランカイ」× @秦王宮本殿(4-5巻)
右龍の回廊を突破し王弟がいる本殿に辿り着くが、そこには王弟成蟜が珍種の猿の赤子として買い恐怖で飼い慣らしたランカイが立ちはだかる。
その圧倒的なパワーに信も山の民も攻めあぐねるも覚醒したバジオウがランカイを攻め立て形勢を覆す。壁に「剣を信じろ」と檄を受けた信が山の民の協力を得て、ランカイの背中に剣を突き刺しランカイは戦意を喪失する。
ランカイを倒され逃げ出した竭氏をバジオウとシュンメンが斬り捨てる。
【レビュー】
キングダムの中でも際立って異色なモンスター級のランカイと相対し絶体絶命だった信が、山の民との連携で討ち取ったことで強力な敵にも相見まえる信の強さを感じさせる一戦であった。これにより玉座を狙った成蟜の目論見は崩れ落ちる事となる王弟反乱編でのハイライトとなる。ここで今後も秦の強力なパートナーとなるバジオウ・タジフ・シュンメンの強さ垣間見せる戦いでもあった。
5:○ 秦国 大将軍「王騎」vs 秦国 高級武官「魏興」× @秦王宮 朱亀の間(5巻)
朱亀の間に逃げた成蟜が肆氏(りし)へ竭氏の死を伝えられた束の間広間に王騎が現れる。馬上の魏興(ぎこう)が王騎に詰め寄り王騎の首を狙うも、地上の王騎に瞬殺される。
嬴政の器を確かめにきた王騎であったが、自らの道を見据えた嬴政の可能性を感じ撤退する。竭氏を失い嬴政に襲い掛かった成蟜を嬴政が捻じ伏せ王弟のクーデターは終結する。
【レビュー】
秦王としての嬴政の可能性と、今後信に大きな影響を与える大将軍王騎の人間性が垣間見える王弟反乱編の最後のシーン。
【キングダム王弟反乱編・総括】
結果:秦(嬴政)の勝利
信の首級:徐完(朱凶)、ムタ(ベッサ族)、左慈(秦高級武官)、ランカイ(成蟜が飼い慣らした怪物)
信・初陣編 全勝負(5巻-7巻)@蛇甘平原
王弟反乱鎮圧後、秦軍は魏軍を侵攻する。大将軍を目指す信は戦争での武功を上げるため兵卒として魏軍戦に参戦することとなる。秦国は大将軍の「麃公」総大将とし、魏は魏火龍七師に名を連ねる知将「呉慶(ごけい)」が迎え撃つ。
6:○ 秦国「信」vs 魏国 武将(中華十弓)「黄離弦」×
× 秦国「縛虎申」vs 魏国 副将「宮元」× @蛇甘平原 (6巻)
信が配属された4軍は丸城に入城するはずだったが先に呉慶の攻めを受け陥落。蛇甘平原に合流し、特攻で攻める千人将縛虎申(ばっこしん)の部隊に配属された信は、澤圭(たくけい)の率いる伍での初陣で暴れまわる。
魏の戦車隊も破壊し隊長級2人の首級を挙げた信は騎馬し、副将宮元(きゅうげん)の待つ丘に縛虎申と共に急襲する。信が中華十弓の黄離弦(こうりげん)が放つ矢を打ち返し討ち取り、縛虎申が宮元と刺し違えるも絶命の間際で宮元の首を取り相打ちとなる。
【レビュー】
信の初陣にして大きく活躍を見せる。縛虎申と共に副将を討ち取る成果を挙げ、同じ伍に所属していた羌瘣(きょうかい)の人並み外れた強さが見える緒戦となった。信は縛虎申の身を呈した戦いぶりと、退路を絶たれた時に出現した秦国六大将軍王騎との触れ合いで、大将軍の大きさを肌で感じることとなる。
7:○ 秦国「信」vs 魏国 将軍「麻鬼」×
○ 秦国 大将軍「麃公」vs 魏国 将軍「朱鬼」× @蛇甘平原 (7巻)
総大将自ら魏の本陣に突撃した麃公を追い王騎から借りた馬で敵陣へ突っ込む信。将狩りの異名を持つ呉慶の腹心である将軍麻鬼(まき)・朱鬼(しゅき)に突然現れた信が襲い掛かり麻鬼を討ち取る。その流れで麃公が朱鬼を切り捨てる。
【レビュー】
普通であれば初陣の一歩兵が勝てるはずもない呉慶配下の麻鬼・朱鬼に一騎で襲い掛かり麻鬼を討ち取った信。将軍級の武将と渡り歩ける強さを早くも見せつける印象に残る一戦となった。
8:○ 秦国 大将軍「麃公」vs 魏国 大将軍「呉慶」× @蛇甘平原 (7巻)
魏火龍七師の一人である大将軍呉慶と一騎討ちとなった秦国大将軍の麃公。趙に滅ぼされた亡国の王族であった呉慶は知略を持って常に冷静な軍略家であったが私怨に駆られ激情するも、それを麃公の武が捻じ伏せ呉慶に引導を渡す。
【レビュー】
それぞれの特色を持った大将軍同士が一騎討ちをし、国同士の雌雄を分かつというキングダムの世界観を大きく反映した一戦だった。戦に勝利するということを目の当たりにした信に大きく影響を与えることとなった。
【信初陣編(蛇甘平原)・総括】
結果 : 秦の勝利
信の首級:黄離弦(中華十弓)、麻鬼(将軍) 百人将へ格上げ
政暗殺編 全勝負@秦王宮(8-10巻)
王弟成蟜のクーデターを鎮圧し、魏軍への侵攻も成功した秦国であったが、王宮内には丞相の「呂不韋(りょふい)」が自ら王座につくことを目論んで嬴政の命を狙っていた。未成年である嬴政の立場は王宮内でもまだまだ弱く、中華統一を実現するには敵国だけでなく国内にも倒すべき相手が存在するのであった。
9:○ 秦国 百人将「信」vs 秦国(呂不韋)の刺客堅仙× @秦国王宮(8巻)
秦の王都咸陽にて、王座を狙った秦国の丞相呂不韋が嬴政を暗殺するためあらゆる刺客を送り込む。過去成蟜の配下だったが味方となった肆氏が信をかって嬴政の守備のため信を王宮に送り込む。王宮で刺客のひとつである堅仙(けんせん)と相対するが戦を経て強くなった信はたちまち堅仙7人を切り捨てる。
【レビュー】
暗殺集団である号馬を複数まとめて相手にしても軽々と7人を討ち取ってしまう信。蛇甘平原での戦を経て強くなった信の実力を窺い知れる戦いだった。
10:○ 秦国 百人将「信」vs 秦国(呂不韋)の刺客 羌瘣・朱凶・号馬× @秦国王宮(9巻)
蛇甘平原で共に戦った羌瘣が嬴政の首を狙った刺客として信と相対する。嬴政を守る信は羌瘣の異様な強さに圧倒されながらも、その太刀筋を確かめながら戦い、羌瘣の剣には殺気がないことを感じる。
羌瘣の呼吸が尽きた時に朱凶と号馬が現れ、羌瘣との斬り合いで手負いの信が羌瘣の呼吸が整うまで足止めをする。
呼吸の整った羌瘣が号馬を次々と切り捨てるが途中で呼吸が途切れ絶体絶命と思った時に昌文君と壁が雪崩れ込み号馬を討ち取り、一人残った号馬が嬴政に襲い掛かるが河了貂に吹き矢を喰らった隙に嬴政が切り捨て暗殺は失敗に終わる。
【レビュー】
戦を経てさらに強くなった信と、それを上回る人間離れした強さを見せる羌瘣。ここでは敵同士であった二人が、今後魂の交流を重ね、無くてはならない心強い存在になっていくとはこの時はまだ想像できなった。嬴政も王にして武勇を持つこと見せつけた。
【総括】
結果 : 嬴政陣営の勝利
信の首級:号馬ら刺客
対趙 馬陽攻防編 全勝負@馬陽(11-16巻)
韓を攻めている隙に、趙軍から要地である馬陽を攻められた秦。急遽偏成した迎撃軍を、攻めを得意とする武将である呂不韋の四柱である蒙武ではなく、これまで謎のベールにつつまれていた最後の六大将軍である秦の怪鳥・王騎に託すこととなる。
11:○ 秦国 将軍「蒙武」vs 趙国 千人将 「剛乱」× @馬陽(12巻)
蒙武は不服ながらも王騎軍の副将となり前線に立つ。中央軍を任された蒙武は敵将李白の軍へ討って出ると重装騎兵を擁した千人将剛乱(ごうらん)が立ちはだかるも、蒙武の圧倒的な武力の前にあっさりと討ち取られる。
【レビュー】
呂四柱の一人であり、嬴政の国内での脅威でありながら秦国の武将の要となる蒙武の比類なき武力の前には重装騎兵の力も全く歯が立たず、蒙武の力を印象付ける戦いとなった。
12:○ 秦国 百人将「信」vs 趙国 将軍「馮忌」× @馬陽(12巻)
王騎から飛信隊の名をもらい独立友軍となった信は馮忌(ふうき)軍の横陣を狙い隊を2つに分け決死で馮忌の本陣に辿り着くものの馮忌は隊を後退させ距離を計るが干央軍の数騎が本陣に迫る。
王騎の術中にはまったことを悟った馮忌が反撃に出て干央を討とうとした束の間、信が馮忌の背後に飛び入り一閃を放ち馮忌を斬り捨てる。
【レビュー】
わずか二戦目の百人将信のポテンシャルをかった王騎の策がはまり信は将軍を討ち取るという武功を立てることができた。王騎に認められ将軍への道を切り拓く信の成長を臨むハイライトとなる一戦だった。
13:△ 秦国 百人将「信」vs 趙国 三大天「龐煖」△ @馬陽(13-14巻)
趙軍の本陣が退き、追走した飛信隊も含めた秦軍の夜営地に突然趙軍総大将である龐煖が単騎で出現する。夜営地の守備兵や飛信隊のメンバーを次々と殺戮していく龐煖に怒った信が立ちはだかるがその圧倒的な力になすすべなく吹き飛ばされ、合流した羌瘣が巫舞で加勢する。
その最中、趙軍の将軍万極(まんごく)軍に夜営地が襲われ絶体絶命となったが一方秦軍の干央(かんおう)軍が追いつく。
息を吹き返した信は飛信隊の仲間に一斉に龐煖へ槍を投げるよう指示し、それを龐煖がかわす隙を見て懐に入り斬り付け討ち取ったように見えたが致命傷に至らず失敗し、信は矛で突かれ気絶する。失敗に唖然とする干央を背後から万極が刺し殺す。龐煖にトドメをさされそうになった信を澤、尾平(びへい)、尾到(びとう)が決死で信を守り森に逃げる。
万極軍に追走されるも逃げ切り信は生き残るが、初陣から戦場を共にしてきた同郷の尾到が深手を負い息絶えてしまう。
【レビュー】
常軌を逸した強さを発揮する龐煖の前になすすべがない中、信が命懸けで立ち向かう。龐煖にダメージを与えたことで信の強さが底知れないことを感じされる戦いであったが、ここまで信を支えてくれた尾到が「お前は大将軍になれる」と言い残し討死する。
14:○ 秦国 六大将軍「王騎」vs 趙国 将軍「渉孟」× @馬陽(14巻)
馬陽戦も佳境を迎え、総大将である王騎自ら前線に出て渉孟(しょうもう)軍に突入する。六大将軍など過去のものと嘲笑い自分の武力を自負する渉孟が王騎に突撃するが王騎に一撃で真っ二つにされ討死。
【レビュー】
昭王亡き後、秦軍六大将軍唯一の生き残りであり、秦国の戦に無干渉であり謎が多かった王騎の強さが未だ衰えていないことを証明した。
15:× 秦国 六大将軍「王騎」vs 趙国 三大天「龐煖」○ @馬陽(15-16巻)
龐煖を囮に使った趙荘(ちょうそう)の策にはまった蒙武はわずか千騎程度の生き残りで趙荘軍に対峙する。王騎軍が満身創痍の蒙武に追いつき、自ら先導して趙荘軍本陣へ突入するが、それを龐煖が阻む。過去、王騎の婚約者であった六代将軍の一人でもある摎(きょう)を殺した龐煖。因縁のある二人の一騎討ちとなり一進一退の戦いを続ける。
あと一歩で龐煖を討ち取る間際、趙・李牧(りぼく)軍が到着する。乱戦となるが王騎のトドメの一撃が龐煖を捉える瞬間に李牧軍の中華十弓である魏加(ぎか)が王騎に矢を的中させ、反対に王騎は龐煖に致命傷を与えられる。
すかさず信が王騎の馬を操り救出し退却するが、その馬上で信へ大将軍への道を諭す。最期は信に矛を委ね、「強き者が強き者を討ち繰り返される、だから乱世は面白い」と言い残し馬上で絶命する。
その後、敗走する王騎軍の追撃を龐煖軍の配下が進言するも興醒めした龐煖はそれを止める。蒙武と主を亡くした騰が趙軍へ猛烈に反撃したことで、李牧は王騎の死が戦の目的でありこれ以上の損耗は趙への打撃となると判断し撤退する。
【レビュー】
李牧の到着や魏加の矢がなければ龐煖を討ち取っていたであろう六大将軍の比類なき武力を見せ、信へ乱世の大将軍たるものが何かを直接伝えるなど、キングダムのキャラクターの中でも根強い人気を誇る王騎将軍の人柄と強さ、壮絶な最期を描いた魂揺さぶるハイライトシーン。
16:○ 秦国 百人将「信」vs 趙国 副将「魏加」× @馬陽(16巻)
龐煖と一騎討ちをする王騎を狙い矢を放った直後、信の怒りの刃に一刀両断される。
【レビュー】
キングダムの中でも最強の武力を持つ王騎と龐煖の真剣勝負に水を差す存在だが、戦に興味がなく武の探求をしていた龐煖と、戦と共に生きた王騎の最期が、戦場ならではの横槍により決するという皮肉な結末を迎えた。この不条理に信は激情するも、物語序盤での王騎の死が信に与えた影響も大きい。
17:○ 秦国 副官「騰」vs 趙国 将軍「趙荘」× @馬陽(16巻)
王騎が龐煖と一騎討ちを続ける最中、李牧の到着により王騎の死と趙軍の勝利を確信した趙荘だったが、趙荘軍の本陣を王騎の副官である騰(とう)が急襲する。
趙荘は、秦の怪鳥・六大将軍王騎を自らの術中で死地に送り込んだ事を誇り、ただ王騎の最期を目の当たりにできなかった事がだけを心残りにし、騰に切り伏せられ討ち死にする。
【レビュー】
王騎が龐煖と対峙する最中に、騰が趙軍の実質的な総大将である趙荘を討ち取ったことで秦軍の被害を軽減する事ができた。趙荘を討ち取った後に、致命傷を負った王騎を助けるなど騰が副官にして強力な武力と、主亡き後つわもの揃いの王騎軍を率いることを王騎から任命されるに足りる器を持っていること見せつけた。
【馬陽攻防編 総括】
結果:趙の勝利
信の首級:馮忌(将軍)、魏加(副将・中華十弓)信は三百人将へ昇格
対魏 山陽攻略編 全勝負@山陽(17巻 – 23巻)
王騎の死後1年、秦は丞相呂不韋の策略により李牧を王宮に呼びつける。呂不韋の巧みな交渉術により、趙と不可侵同盟を結ぶと共に、要衝である韓皋を手に入れた。趙軍が攻め入る憂いが無くなった秦は魏の要衝地山陽の攻略に入ったのだった。それを元趙国の三大天であり魏に亡命していた猛将「廉頗」が迎え撃つ。
18:△ 秦国 三百人将「信」vs 魏国 将軍「輪虎」△ @山陽(19巻)
信と同世代の玉鳳隊の王賁(おうほん)と楽華隊の蒙恬(もうてん)が活躍し高狼城を落城させるが、城内の主要な武将が次々と廉頗四天王輪虎(りんこ)に暗殺される。
その後進軍する秦軍に輪虎が急襲し羅元(らげん)将軍が討ち取られ、壮絶な殺気を放つ輪虎に兵が怯んでいるところを信が打って出て交戦する。その風貌とは裏腹に圧倒的な強さを持つ信は苦戦するが、輪虎も無名であるにも関わらず将軍級の強さの片鱗を既に見せる信に一目置くこととなる。飛信隊の仲間が助けに入り、輪虎は次戦った際は見逃さないと言い残しその場を去る。
【レビュー】
山陽の侵攻戦において輪虎の強さに秦軍はおおいに苦戦することになる。キーマンである輪虎と信とのこれからの熱戦を予感させる出会いの一幕。
19:× 秦国 臨時千人将「信」vs 魏国 将軍「玄峰」○ @山陽(20巻)
山陽における本格的な戦が始まる。蒙驁から臨時千人将に抜擢された飛信隊は玄峰(げんぽう)軍と対峙する。煙幕と音を使い秦軍を撹乱させ、装甲戦車で攻め込む軍略家の玄峰に苦戦するが音を頼りに玄峰本陣へ近づくことに成功する。
しかしそれを読んでいた玄峰に矢の雨を浴び壊滅的な打撃を受ける飛信隊だったが、そこに王賁が駆けつける。機を見て退却する玄峰に秦が槍を投げつけるが一歩届かず玄峰に対峙した秦中央軍は大損害を被る。
【レビュー】
今まで戦ったことの無かったような軍略に完膚無きまでに叩かれた信だったが秦軍では士気を落とさぬよう玄峰を撤退させたと吹聴する。大敗を咎められなかったものの、この憂き目が信の闘争心に火をつけることとなる。
20:○ 秦国 将軍「桓騎」vs 魏国 将軍「介子坊・玄峰」× @山陽(20巻)
秦右軍では桓騎(かんき)がゲリラ戦を行い、介子坊(かいしぼう)に対し殺害した兵士の大量の目玉や蹂躙した死体を送りつけるなどの猟奇的な仕打ちを続けていた。
そこへ玄峰が介子坊の代わりに軍の指揮を担う。玄峰は地形や軍の配置などから桓騎軍本陣を突き止め介子坊に攻め込ませるが、伝者の情報から指揮が玄峰に代わった事を知り先手を打ち魏兵に扮して玄峰の本陣に侵入し玄峰を討ち取る。
【レビュー】
桓騎が軍略に明るい玄峰をあっさりと討ち取ってしまい、強さと知略を見せつけることで桓騎が今後の秦軍において非常に重要な武将であることを印象付けるとともにその残虐性と強烈で魅力的なキャラクターを垣間見る一戦となった。
21:△ 秦国 臨時千人将「信・王賁・蒙恬」vs 魏国 将軍「輪虎」△ @山陽(20-21巻)
蒙恬がつぶれ役をかい、隊を分散させ手練れの輪虎兵を狙い撃ちし飛信隊と玉鳳隊の活路を開く。
残った輪虎兵に苦戦するも羌瘣と楚水(そすい)を残し、輪虎本陣に辿り着く。
輪虎は信と王賁を同時に相手にするが互角以上に戦うも、輪虎と斬りあうことで強さを増す信が限界を超越し輪虎の左手薬指と小指を切り落とす。決着を翌日に持ち越し、信と王賁は退路が絶たれる前に退却する。
【レビュー】
強い相手と戦うほど強くなっていく信に、輪虎ですら圧倒されていく。信が進化する上で輪虎の存在はより大きくなっていった。
22:△ 秦国 将軍「王翦」vs 魏国 将軍「姜燕」△ @山陽(21巻)
王翦(おうせん)が壁に五千の兵を持たせ地形を利用し姜燕(きょうえん)を誘い込むが逆に姜燕の伏兵に囲まれ、目の前に現れた姜燕に狙われ絶体絶命となる。
しかしこれは壁を囮とした王翦の策であり、姜燕軍を王翦軍が取り囲む。
形勢逆転と思われたが、なんと更に先を読んでいた廉頗自らが出現し魏軍の士気は最高潮となる。
廉頗は王翦がどう出るか試したが「絶対に勝てる戦以外に興味はないと」言い残し軍をほぼ無傷のまま直ちに退却させ、予め地形を活かして築城した砦に篭城する。この篭城が後の秦軍の形勢に大きく影響することとなる。
【レビュー】
ミステリアスだが冷静かつ先を読む高い知略を持った王翦の能力と存在感を感じることができる一戦であった。
23:× 秦国 将軍「栄備」vs 魏国 将軍「輪虎」○ @山陽(21巻)
輪虎との激闘の翌日、左軍王翦は依然篭城し姜燕を睨み、右軍桓騎は介子坊の攻めに膠着していたため、総大将蒙驁(もうごう)本陣の前線として栄備(えいび)と同金(どうきん)が守る中央軍の決戦となる。
輪虎軍が「輪動」という特殊な戦法で秦軍に突入し、相対した栄備は輪虎に瞬殺されてしまう。
【レビュー】
蒙驁腹心の将軍である栄備を圧倒したことで、左手の指を無くしても輪虎の武力が衰えていないことを見せ付けることとなった。
24:○ 秦国 臨時千人将「信」vs 魏国 将軍「輪虎」× @山陽(22巻)
栄備を討ち主攻を突破した輪虎の前に後陣に配置されていた飛信隊が迎え撃つ。両者互角に斬り合うが輪虎が信の太股を刺し馬上から崩れ落ちるが、とっさに輪虎をも馬上から引きずりおろす。満身創痍の二人が地上で凄まじい戦いを繰り広げる中、魏軍の武将である魏良(ぎりょう)が信を狙い突撃する。
しかし、それに気づいた楚水が魏良を斬り捨てると共に倒れ、顔を上げた途端眼前に輪虎が現れる。楚水は主[あるじ]である郭備を殺した輪虎を目の前にし殺意が溢れ、とっさに輪虎を攻撃しようとする。輪虎も反射的に楚水へ反撃するが、その隙をついて信が致命傷の一閃をあびせる。
それでも輪虎は倒れずに天命で廉頗に拾われ廉頗の剣となった過去を回想し、信は”天に任せず自らの足で立ち”漂や嬴政・王騎や多くの仲間たちとの出会ったことを回想し、両者は戦い続けるが、最後に信の突きが輪虎の胸を突き刺す。
信がこれまでの戦った相手の中でもっとも苦戦し、何度も命を失いかねないと感じた強敵輪虎。最後は廉頗に忠誠を誓い限界を超えても潔く戦い続ける輪虎に武人としての尊敬の念を感じ、輪虎との戦いをも糧として自らの道を進むと決意したことで信がさらに進化することとなるキングダムのストーリーの中でも非常に重要な一戦だった。
25:△ 秦国 大将軍「蒙驁」vs 魏国 大将軍「廉頗」△ @山陽(22巻)
左右軍が膠着し中央軍が激戦を繰り広げる最中、廉頗は蒙驁が本陣を構える丘の背後を急襲する。蒙驁の砦の罠もかいくぐり頂上まで辿り着き、蒙驁との一騎討ちとなる。老将ながら蒙武の父親であるだけあり膂力は元趙の三大天である廉頗に対しても引けをとらず、過去一度も廉頗に勝てなかった40年間の想いがこもった蒙驁の攻撃は廉頗の予想を上回った。
そして蒙驁の激情にかられた一撃は廉頗の馬の脚を折り、馬上から崩れ落ちた廉頗にトドメの一撃を食らわそうとするが逆に廉頗の強烈な反撃で蒙驁の左腕を切り落とす。本陣に駆けつけた信は廉頗に輪虎を討ち取ったことを伝え、激高した廉頗の強烈な一撃を受ける。輪虎戦で満身創痍となり動けない信に最期の一撃を食らわそうとする瞬間、蒙驁が廉頗に信が王騎の最期に立会い矛を託したと伝えられる。
信から王騎の最期を知らされた廉頗は感傷に浸っていると魏軍の本陣から火が上がる。
【レビュー】
王騎の死に憤ってか魏に亡命後初めて戦場に出て圧倒的な強さを見せた廉頗。六大将軍、特に王騎を好敵手として渡り歩いた歴史を思い返し、信から王騎の最期が天下の大将軍として堂々たる英雄そのものであったと聞かされ納得する姿と、六大将軍が活躍した壮絶な時代を塗り替えられるのは中華統一を果たした時だと信へ檄を送る姿を通し、これから信を待ち受ける未来がその時代以上に壮絶であることを予感させる場面だった。
26:○ 秦国 将軍「桓騎」vs 魏国 総大将「白亀西」× @山陽(22巻)
信から王騎の最期を知らされた廉頗は感傷に浸っていると魏軍の本陣から火が上がる。桓騎が白亀西(はくきさい)を討ち取ったのだった。
孤立していた白亀西の本陣に魏軍に扮した桓騎は容易に奇襲し、白亀西を生け捕りにしていた。命乞いをすれば助けてやると言い放つ桓騎だったが、白亀西はそれを断り桓騎に殺される。
秦本陣では廉頗へ介子坊がここから巻き返すことを進言するも、廉頗は無傷の王翦が控えている状況でこの戦は既に詰んでいると見込み蒙驁へ一方的に和睦を申し入れ撤退し、秦軍の勝利となる。
【レビュー】
二度の奇襲で山陽侵攻戦の勝利を手繰りよせる活躍を見せたが、桓騎の人間性やその戦い方、残虐性が他の将軍と異色であることをさらに印象付けた。蒙驁の副将としてこれまで登場していなかった王翦と桓騎の武力と個性は今後のキングダムのストーリーに大きく関与する存在となることを予感させた。
【山陽攻略編 総括】
結果:秦の勝利
信の首級:輪虎(将軍) 三人の千人将の首級か将軍の首級を取らねば伍長まで降格とするという臨時千人将となる蒙驁からの条件を達成した
河了貂の合流など幕間 全勝負@山陽(23-24巻)
27:○ 秦国 軍師「河了貂」vs 魏国 軍師「氷鬼」× @山陽(23巻)
千人将格上げ後、魏から奪った山陽の地で守備を担っていた飛信隊は今まで軍略指揮をしていた羌瘣が離脱したことで連戦連敗し早くも降格の憂き目に逢おうとしていた。
憐れんだ蒙恬が弟の蒙毅を軍師として招聘するが都合が合わず代わりに昌平君(しょうへいくん)の軍師育成機関で軍略を学んだ河了貂が合流する。最初は若い女であることで信頼されず合流後も指揮を任せなかったが、飛信隊はさらに敗走を重ねとうとう指揮を河了貂に託すこととする。
隘路を活かした戦術で田有(でんゆう)が道清(どうせい)を討ち取り、信を囮にして郭備兵が急襲し敵将の間永と魏軍八本の指に入る軍師の氷鬼(ひょうき)を生け捕りにする。そこから飛信隊は破竹の勢いで勝利を重ねていくこととなる。
【レビュー】
河了貂は軍師としての初陣にして、強力な魏の軍師氷鬼を軍略で上回りその才覚を見せる。今後さらに規模を増すこととなる飛信隊において無くてはならない存在となる。
28:○ 趙国 三大天「龐煖」vs 燕国 大将軍「劇辛」× (24巻)
秦趙同盟により秦に侵攻される憂いが無い中、趙の李牧は龐煖を擁し燕を攻める。相対するは元々趙の武将であった劇辛(げきしん)であり、そのまま趙にいれば廉頗と並び三大天に入っていたと言われる猛将だった。
劇辛は若き日から燕の英雄であり軍神と言われた楽毅の戦いをなりふり構わず研究し、武力だけでなく軍略にも長けたおり、李牧の本陣を見破る。異民族犬戎の最速騎馬で構成された犬毒を放ち李牧に迫るも、龐煖が現れ劇辛を一刀両断する。
【レビュー】
燕を代表する大将軍であった劇辛を龐煖が容易く討ち取ってしまう。龐煖が王騎を倒しさらに強くなったのか、劇辛の名実が伴っていなかったことで、圧倒的な強さを誇る龐煖が趙軍に健在であることを印象付け、各国を震撼させる出来事となった。
29:△ 秦国 千人将「信」vs 楚国 千人将「項翼」△ (24巻)
秦が山陽を自国の領土とすることを宣言した事で楚軍との国境警備に当たっていた飛信隊に楚軍が対峙する。
開戦を固く禁じられていた両軍だが、楚軍千人将の項翼(こうよく)に度重なる挑発を受けた信が痺れを切らし単騎で項翼へ襲い掛かる。信の予想を上回る強さを見せる項翼であったが、そこに中華十弓の白麗(はくれい)が割って入り決着せず事なきを得ることとなる。
【レビュー】
今まで趙軍と魏軍と戦った信だったが、楚軍にも同世代の手練れがいることを知ることとなる。自国の王賁や蒙恬だけでなく次世代を担う武将の存在を知ることとなり、特に春秋七雄最大の領土を持つ楚国がこの先秦国の大きな脅威となることを予感させる出来事だった。
30:○ 秦国 千人将「信」vs 韓国 千人将「馬関」× @東金(24巻)
楚の国境警備を命を終え東金を目指していた飛信隊の前に傷だらけの少年が現れる。除国というどの国にも属さない小国が韓の武将馬関に蹂躙されていたのだった。
救出に入った飛信隊は迎え撃った馬関(ばかん)を軽々と斬り捨てる。救出のお礼に国王から周辺の地図を頼りに道を進めると、趙の李牧と楚の春申君(しゅんしんくん)が密談している場面を目撃する。
【レビュー】
今まで趙軍と魏軍と戦った信だったが、楚軍にも同世代の手練れがいることを知ることとなる。自国の王賁や蒙恬だけでなく次世代を担う武将の存在を知ることとなり、特に春秋七雄最大の領土を持つ楚国がこの先秦国の大きな脅威となることを予感させる出来事だった。
対合従軍 合従軍侵攻編 全勝負@函谷関・蕞(25巻 – 33巻)
31:× 秦国 騰軍軍長「同金」vs 楚国 将軍「臨武君」○ @秦国南部(25巻)
王宮が嬴政の嫡子誕生の祝賀ムードの中、楚軍が侵攻してきた急報が届く。南部を守備していた蒙武・張唐(ちょうとう)が対応し、騰が駆けつけ、臨武君(りんぶくん)に同金が相対するが、臨武君の強烈な一撃に瞬殺されてしまう。
【レビュー】
臨武君の登場はこれまで対峙した趙・魏だけでなく、南の大国である楚に大きな脅威が存在することを感じさせた。
32:× 秦国 騰軍軍長「鱗坊」vs 楚国 千人将「白麗」○ @函谷関(26巻)
大国である楚が攻めてきただけでも動揺する秦に、その後魏と趙の大軍が迫っている急報が咸陽に届く。戦慄する王宮で嬴政は三国連合だと考えるが、更に燕・韓・斉が加わり、それが合従軍によるものだと分かる。(後に斉は蔡沢の名外交により手を引き、他国を背後から睨むことで秦を援ける)秦は列将を集め国門函谷関にて合従軍を迎撃することなる。
麃公の突撃を皮切りに全軍交戦に入る。楚軍を前にした蒙武・騰の連合軍は、蒙恬・録嗚未(ろくおみ)・鱗坊(りんぼう)と臨武君・項翼・白麗が激闘を繰り広げる。蒙恬が項翼を抑えている間に録嗚未が臨武君本陣に突入し、臨武君と一騎打ちをしているところに鱗坊が加勢するが白麗の矢に頭を打ちぬかれ討ち死にする。
【レビュー】
臨武君に同金を殺された仇討ちに鱗坊が突撃するも若くして中華十弓にして千人将の白麗に狙い撃ちされてしまう。楚軍には世代を超えたつわものがいることを思い知らせる緒戦となった。王騎の意思を受け継いだ武将が同金・鱗坊と早くも2人討死してしまうこととなる。
33:○ 秦国 将軍「騰」vs 楚国 将軍「臨武君」× @函谷関(26巻)
蒙恬が白麗を討ち取りかけたところに項翼が割って入り、逆に蒙恬がピンチになったところを王賁が助けに入る。若き武将が鮮烈な戦いを続ける中、騰が自ら打って出て臨武君に対峙する。
騰の強さにひるむ臨武君だったが祖国にいる守るべき婚約者を回想し負けじと盛り返すも、最期は騰に討ち取られる。騰自ら腹心の同金・鱗坊の仇を討つこととなった。
【レビュー】
王騎とあらゆる戦地を渡り歩き支え続けた騰の武勇は、今まで圧倒的な強さを誇る王騎の影に隠れていたが、その強さは本物であることを教える一戦であった。
34:○ 秦国 千人将「信」vs 趙国 将軍「万極」× @函谷関(27巻)
趙の軍略家慶舎(けいしゃ)の策にはまり万極軍から挟撃される麃公軍の中で窮地を察知した飛信隊が後方へ打ってでる。
過去、秦の六大将軍白起(はくき)が長平の戦いで趙の捕虜40万人を生き埋めにした時の遺児で構成された万極軍の強い怨念の前に苦戦する。自身も戦争孤児の下僕から大将軍を目指している経歴から、万極の生い立ちに同情するも、その恨みが虐殺・陵辱の源泉になってはならず、戦いの末に戦争のない世界を描く嬴政の中華統一の意味を噛み締め、もう楽になれと万極を討ち取る。
【レビュー】
戦乱の世で巻き起こる悲劇を繰り返さない為にも中華を統一するという嬴政の夢と自身の信念を重ね合わせ覚悟を新たにする信の姿を描く印象的な戦いだった。信は中華統一の道の中で長平のような惨劇を起こさないし、起こさせないと誓い万極へ引導を渡すのだった。
35:○ 秦国 大将軍「張唐」vs 韓国 大将軍「成恢」× @函谷関(28巻)
函谷関で成恢(せいかい)の毒を浴びせられ死期が近づく老将張唐。呉鳳明(ごほうめい)の井蘭車を煙幕で撹乱し、陥落寸前の函谷関に釘付けの敵の目を欺き魏軍に扮して敵陣へ悠々と侵入する桓騎に続いて張唐も成恢の本陣へ突入する。
毒に肉体を蝕まれ息絶えそうにながらも息を吹き返し勇猛に攻め続け、50年に渡り正々堂々と武人の道を歩み続け秦国を支えた自身の最期が毒によるものという事実に憤りながら、小手先の毒兵器を用いることで将としての自覚を失い敵に背を見せて逃走しようとする成恢を一刀両断する。
【レビュー】
成恢を討つ前日の晩に、桓騎へ秦の武将としての資質を問う忠臣張唐であったが、元野盗の桓騎からは期待した答えは得られなかった。しかし、秦にとって大きな戦果と成恢を討つ機会をもたらした稀有な軍略を持つ桓騎の実力を認め、死の間際に秦国一の将軍になれと言い残す。桓騎は「寝言は死んで言えジジイ」と吐き捨てるも、息絶え馬上から崩れる張唐を「調子が狂うぜ」ともらしながら落馬せぬよう掴む。どうあれ張唐の栄誉を称えるかのような振る舞いに、冷酷ながらも人間らしさを持ち合わせる桓騎を感じさせ、ひねくれた若武将と老将との交流に心を揺さぶられる名場面となった。
36:○ 秦国 将軍「蒙武」vs 楚国 大将軍「汗明」× @函谷関(30巻)
昌平君に授かった策により斜陣かけで汗明(かんめい)軍へ攻め込み汗明と一騎討ちとなる。過去六大将軍であった王齕(おうこつ)を討ち取ったとする猛将汗明の前に、秦随一の武力を持つ蒙武が互角に戦い、互いに腕を砕くほどの激戦を繰り広げる。
汗明の錘を蒙武が破壊し撃破しかける間際、背後から蒙武を討とうと突撃した媧偃を止める為蒙恬が突入したものの、媧偃(かえん)に振り切られた蒙恬は汗明の目の前に入り斬り捨てられてしまう。息子が斬られた事に激高した蒙武は汗明を怒りの一撃で討ち取る。
【レビュー】
キングダムに登場する猛将の中でも圧倒的な武力を持つ蒙武と汗明の一騎討ちシーン。腕を砕かれながらも汗明を討ち取った蒙武は名実共に中華最強の一人であることを見せ付ける。父を守るために割って入り致命傷を受けた蒙恬へ声をかけてあげて下さいと蒙武の配下たちが懇願するも、「蒙武の倅はこんなことでは死にはせん!」と言い放つ姿に、息子を認め愛情と期待を込める蒙武らしい強い父親の姿を見せる印象的な場面となった。
37:× 秦国 大将軍「麃公」vs 趙国 三大天「龐煖」○ @武関先の南道(30巻)
函谷関を背後を突いた媧燐(かりん)の部隊が函谷関を落としかけるが、オルドを策で山中に釘付けにしていた王翦が出現したことで失敗する。そんな中、咸陽に至る南道の武関の内側にある小城が何者かに次々を落とされていた。武関が突破されていなかったため気づいていなかったが、李牧が数日をかけ険路を越えて兵を送りこんでいたのだった。
その動きに唯一気づいた麃公が李牧軍に追いつくがそこに現れた龐煖と一騎討ちとなる。麃公は龐煖の圧倒的な武力の前に善戦し龐煖の左腕をへし折るものの敵わず、加勢に入った信が辿り着く前に討ち取られてしまう。
麃公は信へ自身の盾を授け前進を命じ「火を絶やすでないぞォ」と最期の檄を送り崩れ落ちるのであった。信は憧れの大将軍麃公の死に怒り狂い、龐煖に突撃しようとするが、壁がそれを諫めて一行は敵が咸陽へ至ることを阻むため先を急ぐこととなる。
【レビュー】
信の初陣の総大将であり戦場で生き続けた武人麃公は、王騎と並び信へ大きな影響を与えた大将軍だった。麃公の死に激情し龐煖へ突撃しようとする信を、壁が「将軍が前進とおっしゃったのが聞こえなかったのか!盾を投げられた意味が分からなかったのか!」と諫め、麃公が自らの死に代えて信に与えた大きな役割を諭すシーンには胸を突き動かされた。信は絶大の信頼を置いている壁の言葉に冷静になり前へと進む。
キングダムのキャラクターたちの中でも、特に破天荒で人間味があり、強烈な個性を放った麃公が絶命するシーンは合従軍編の中でも極めて印象的なハイライトであった。
38:○ 秦国 千人将「信」vs 趙国 三千人将「傅抵」× @蕞(31巻)
趙の若武者傅抵(ふてい)が、秦国最後の砦である城「蕞(さい)」の城壁に辿り着き信と一騎討ちとなる。信は傅抵の素早い攻撃に苦戦するも、羌瘣との訓練で培ったスピードへの間合いの取り方を実践し傅抵を追い込み一閃を浴びせ吹き飛ばす。
その間、河了貂がカイネに捕虜として連れさらわれそうになっていることに気づいた信はカイネへ一撃を食らわし城壁から突き落とすが、それに激高した傅抵が信に再度突撃してきたところを竜川(りゅうせん)が体当たりし傅抵も城壁から落下する。カイネ・傅抵共に地上の兵士の頭上に落下したことで生き残るが、信は城壁の死守に成功する。
【レビュー】
趙軍には以前より登場していたカイネだけでなく、傅抵という若手の手練れがおり、秦の王賁・蒙恬や楚の項翼・白麗などとともに戦乱を彩る多くの才能がいることが分かる一戦だった。今後各国の若手武将たちの活躍と行く末に可能性を感じる場面となった。深手を負ったにも関わらず傅抵を吹き飛ばす竜川も○
39:△ 秦国 千人将「信」vs 趙国 三大天「龐煖」△ @蕞(33巻)
李牧は蕞に秦王がいる事を知り、政を生け捕りにして咸陽を無血で落とそうと画策する。
政は兵と共に敵と戦うが、深手を負ってしまう。立つのもやっとの状況だが政は兵の前に姿を現し士気を上げ続け、蕞は趙軍を驚愕させるほど長く防衛を続ける。
しかし、7日目にしてとうとう城門が破られ趙軍が雪崩れ込んでしまい、秦軍は負けを覚悟したその時、楊端和率いる山の民の軍勢が到着する。楊端和筆頭につわもの揃いの山の民の破壊力を前に趙軍は崩壊し、李牧は撤退の決断を迫られるが、そこへ龐煖が姿を現す。
信は飛信隊の仲間に止められるが超えなくてはいけない相手だと、王騎・麃公の仇である龐煖に対峙し、一騎討ちとなる。龐煖の矛を狙い剣を振り下ろし、体制を崩した龐煖の胸に剣を突き刺す。
その後高く跳び、龐煖の顔面に太刀を浴びせる。そこに李牧から全軍撤退の指示が伝わり龐煖は信へ「お前の名前を覚えておく」と言い残し退く。これにより秦軍と合従軍の大戦は秦軍の勝利となる。
【レビュー】
国を守ろうと武器を取り戦い続ける蕞の民。山の向こうで重要な戦いを繰り広げていたがそれを止めてまで秦国の救出に向かうという楊端和と嬴政の深い絆。憧れた大将軍たちがついえた武神龐煖と信との激戦。史記が伝える「不抜(抜けなかった)」の二文字の裏にここまで多くのドラマを描く合従軍編クライマックスとなる蕞の戦いはキングダムの物語の中で最も壮大なエピソードどなった。麃公に腕を折られていたものの信が龐煖と互角に戦える強さを持ったことを決定付けた。
【合従軍侵攻編 総括】
結果:秦の勝利
信の首級:万極(将軍) 秦は万極撃退だけでなく、李牧軍侵攻の刻を稼ぎ、蕞の南壁を守り抜き、龐煖を退かせた武功から三千人将へ昇格した。
※合従軍編以降(34巻~)の戦いは以下の記事をご覧ください!