奇策

【桓騎の虐殺・奇策録】名将かつ悪将の桓騎がキングダムで起こした奇想天外の策の数々

サムネイル画像:作画引用・出典 キングダム (原 泰久) 集英社 残虐にして色気と魅力を放つ人気キャラクター桓騎。秦軍を勝利に導くも時に虐殺もいとわず敵を追い詰める奇策の数々を徹底解剖・・・! キングダムを語るうえで外せない将軍桓騎(かんき)。多くの戦地で武功をあげるが、そのやり口は時に残虐無比で敵を震い上がらせてきた。 元野盗で首切り桓騎の異名を持ち、多くの荒くれ者を束ねる恐るべき人間だが、人の心理につけこんだ知略や人間味も持ち合わせる。時にユーモラスであり端麗な容姿を持ち、色気を放つ人気キャラクターだ。 そんな桓騎の虐殺劇や奇策を物語と共に紹介しよう。 ※物語のあらすじと共に紹介しているのでネタバレを含みます。 敵兵の目玉を袋詰めして大量に送り付ける・・・!敵に扮して本陣急襲!圧倒的インパクトを残した初登場(20巻~@山陽攻略編) 敵兵の目玉をくり抜く。串刺しにする。初めて明るみになった残虐性は噂通りだった・・・! 蒙驁(もうごう)大将軍の副将として王翦(おうせん)と共に山陽の地で初登場した桓騎。敵の実質的な総大将は元趙の三大天の廉頗(れんぱ)。廉頗四天王として秦を苦しめる知将の玄峰(げんぽう)と介子坊(かいしぼう)。その対応にあたったのが桓騎だった。 ゲリラ戦、心理戦で介子坊を追い詰める 山中で陣を細分化しゲリラ戦を仕掛ける桓騎。討った敵兵の目玉をくり抜き袋詰めして大量に介子坊陣営に送りつけたり、敵兵を串刺しにして見せしめにするなど介子坊を動揺させ追い詰めていく。 魏軍の兵に扮して玄峰本陣へ侵入し、玄峰を討つ 追い詰められる武将の介子坊から軍師の玄峰に指揮を移譲するが、それも束の間、大胆にも魏兵に扮した桓騎が数騎で玄峰本陣に潜入する。寸前にそれに気づいた玄峰が桓騎を弟子にしてやるから寝返れと口説くも、あえなくあっさり首を刎ねられてしまう。 最後は総大将の白亀西を討ち取り蒙驁の窮地を救う 蒙驁と廉頗が秦の本陣で激戦を繰り返し、秦本陣が陥落間際になった際に、魏の本陣から狼煙が上がる。玄峰を討ち取った後に魏の本陣へまたしても魏兵に扮した桓騎が潜入し、形式的に総大将を任されていた白亀西(はくきさい)を討ち取っていたのだ。 桓騎は白亀西へ命乞いしたら助けてやると言うも、白亀西はそれを拒否し、あっさり桓騎に刺殺されてしまう。刺した後も、さっきの威勢はどうしたと、いたぶる姿が桓騎らしい。 結果、王翦軍がほぼ無傷で残っていた点もあり、廉頗はこの戦は詰んだと和睦を申し入れ、秦は勝利を掴む。 初登場にしてその残虐性とゲリラ戦、命知らずで大胆な襲撃策を繰り広げる桓騎は強烈なインパクトを与えた。 国門函谷関の陥落を防いだ桓騎の大胆不敵な計略と、熱き老将の壮絶な最期(28巻~@合従軍侵攻編) 残虐だけじゃない!陥落寸前の函谷関を守った桓騎の勇敢かつ大胆な策に熱き将たちのドラマが 秦国を震い上がらせた5ヶ国連合の合従軍の侵攻。国門函谷関は韓の成恢(せいかい)の毒による攻撃と魏の呉鳳明(ごほうめい)による井闌車と床弩車による攻撃により陥落寸前の危機に瀕していた。 そこで桓騎は門にかけられた井闌車へ煙幕を放ち、火を放たれたと勘違いした敵が混乱するうちにわずか100騎にも満たない兵力で地上に降り立つ。それは、魏軍の兵に扮して敵本陣を急襲するという奇策だった。万一敵に露見すれば絶体絶命の策に味方も不安にかられるが、桓騎は「全部 上手くいく」と微笑む。 桓騎と共に陥落間際の函谷関に釘づけの敵兵は桓騎たちに全く気付かず、毒により死期が迫る老将張唐と共に成恢の本陣に行き着く。 そして、敵の急襲に怖気づき逃げる成恢を毒の影響で絶命間際の張唐が一刀両断し韓軍は崩壊する。桓騎は混乱に乗じて撤退の際にも床弩車を破壊していくなど、国門陥落の危機を持ち前の度胸と知略で防いだのだった。 この出来事の前夜に張唐は桓騎に「なぜ秦国の武将をしているのか?」と問いかける。それに対して「武将だなんだと偉そうにしているやつより戦が抜群に強いからだろ。秦がどうなろうが知ったことではない」と桓騎は吐き捨てる。しかし、張唐は桓騎の度胸・戦略眼に一目置き、絶命の間際に「秦国一の将軍になれ」と桓騎に伝え絶命する。馬上から崩れ落ちそうな張唐を落馬せぬよう掴み、調子が狂うジジィだとつぶやく姿に冷酷ながらも人間味を感じさせるのだった。 蒙驁の弔いと、魏兵を火あぶりの刑に・・・!(34巻) 残虐で冷酷な桓騎だが、副将として仕えた蒙驁には尊敬の念を持っている人情も 合従軍の侵攻を防いだ秦。諸国も損耗の影響が癒えない中、翌年は敵国との大きな衝突はなかった。 そんな中、老将であり長く秦を支えてきた蒙驁が孫の蒙恬らに看取られ亡くなる。 数少ない戦の中で、桓騎は魏の汲を陥落させるが、直ちに降伏しなかった敵兵を火あぶりの刑にし惨殺する。それを副将として長く使えた白老蒙驁へのたむけだという姿に、冷酷ながらも人間味が溢れる姿を見せるのだった。 一方で王翦は魏の慶都を攻め落とすが、一生自分に忠誠を誓う引き換えに命を救うという、両者蒙驁の副将だった同士が敵に対して対照的な対応をする点も、それぞれの個性を見せる象徴的なシーンとなった。 総大将桓騎の残忍性が内輪の衝突にも発展した黒羊丘の戦い。村民を虐殺し亡骸のアーチを作り、紀彗を精神的に追い込む(43巻~@黒羊丘侵攻戦編) 趙への本格的な侵攻の要となる黒羊丘の戦いの総大将となった桓騎と、従軍した飛信隊。そこには戦に対する決定的な考え方の違いが 趙を進行するにあたり要所となる黒羊丘は密林と丘から成る攻略の困難な地形をしており、ゲリラ戦を得意とする桓騎が総大将に任命された。 初めて桓騎とまみえる信だったが、いままで出会った将軍とは異質な雰囲気を放つ桓騎に戸惑う。桓騎は信に大人の戦いを教えてやると意味深な言葉をかける。 秦軍は趙の総大将の慶舎(けいしゃ)と離眼城から出撃した勇将紀彗(きすい)らに苦しめられるが、桓騎配下のゼノウや雷土(らいど)、砂鬼(さき)家などの残虐性に富む元野盗らのセオリーを無視した戦いぶりと、相手の心理を読んだ桓騎の知略により慶舎を追い詰め最期は信に討ち取られる。 桓騎の卑劣な計略により秦は勝利を収める 慶舎の腹心岳嬰(がくえい)は、総大将が討たれたものの戦略的に優位な丘を趙が取っていたため紀彗に抗戦し巻き返すことを進言する。 紀彗は過去離眼城で子供たちを守るために大人たちが虐殺されるという悲劇のトラウマと、その経験から離眼の子供たちを必ず守るという使命を持っていた。 その過去を見抜いていた桓騎は戦地の村人たちを虐殺し、亡骸のアーチを作り紀彗に「離眼城の子供たちにも同じ目に合わせる」と見せしめる。紀彗は勝利より離眼城を守ることを優先し丘を明け渡すのだった。 この出来事を契機に衝突する信と桓騎 紀彗軍の勇将劉冬(りゅうとう)と刺し違え致命傷を負った際に、戦地の村人に命を救われていた羌瘣(きょうかい)は、桓騎軍がその村人たちを虐殺していた場面を目の当たりにし、怒りにかられ軍律で禁止されている同士討ちをしてしまう。 その後、桓騎軍の虐殺と凌辱に激高した信と羌瘣は桓騎と衝突するが、尾平(びへい)が仲裁に割って入ったことでなんとか事なきを得る。 しかし、桓騎兵にそそのかされて尾兵が村人の宝石を盗んでいたことが露見したことで信と仲間割れをしてしまうが、最終的には飛信隊は桓騎軍と違い心が潤っているから虐殺も凌辱も必要とせず共に戦っていけることを再確認し絆を深めるととなった。 虐殺・凌辱・盗み、野営地には娼婦がいて兵卒が宝飾品を身にまとう桓騎軍。命をかけて戦地にいる見返りとして、それらを正当化する元野盗集団の桓騎軍と、共に戦うことを自由意志の中で選び結束する飛信隊。両極端な二人の考え方が如実に表れる戦だった。しかし、桓騎の計略により秦は想定より大幅な損耗で勝利を収めたという事実も同時に存在し、大義を掲げる自国の最小損害のために他国の民衆ですら無残に犠牲にすることの正当性や倫理観の是非を考えさせられる戦いだった。それを含め、桓騎は信へ大人の戦いを教えてやると語ったのかもしれない。 鄴侵攻編では王翦の計略により、鄴城内の兵糧攻めをしたたかに成功させる桓騎。今後のストーリーで残忍かつ人間味がある不敵な魅力を放つ桓騎をはじめ、配下のオギコ、黒桜(こくおう)、摩論(まろん)、雷土らの活躍に目が離せない。