【え?実は弱い?】キングダムに登場する疑惑のハッタリ武将たちを徹底分析
サムネイル画像:作画引用・出典 キングダム (原 泰久) 集英社 勇猛で屈強な武将が活躍する国民的漫画キングダム!その風貌や発言から「こいつは強敵では!?」と読者をドキドキさせるも、実は思ったより弱かった・・・という残念な武将も登場する。そういったキャラクターも物語を彩る重要な存在!? 戦ってみるまでその本当の強さは未知。多くの武将たちが主人公信をはじめ秦国の将軍たちを葬り、苦しめ、敵ながらにその強さや知略にハラハラさせられるのもキングダムの魅力の一つである。 一方で、エピソードや発言・言動と比較し、いざ相対したら「あれ?」と思うほどあっさり討ち取られてしまった武将や、その強さに疑問を感じる武将の存在がいるのも事実。 無論、主役側の強さを引き立たせるためのストーリー上の脚色や、全50巻を超える物語の登場タイミングによって描かれ方が異なるため単純な比較はできないとは思うが、今回はそんなちょっと残念な登場人物たちにフォーカスして紹介する。 天下最強を自称する秦の高級武官「左慈(さじ)」 たしかに強かった・・・!王弟反乱鎮圧への最大の脅威だった!が、「天下最強」?? 物語序盤、王弟成蟜(せいきょう)の反乱においてランカイのような怪物を除いて最も強い武人として描かれていたのが成蟜の後ろ盾である丞相竭氏(けつし)の配下である高級武官の左慈であろう。映画キングダムでは漫画と異なりランカイではなく左慈が最後の敵となっている。 竭氏陣営の中でも圧倒的に強く人斬り番長と異名を持ち、自らを天下最強と評する自信家だ。 山の民の力を借り、咸陽の王宮にたどり着いた嬴政と信。信は成蟜討伐のため本殿に続く隠し通路である右龍の回廊を進むがそこに待ち受けるのが左慈であった。勇猛な山の民をバッタバッタと斬り捨て、壁(へき)と信を唖然とさせる。 信をかばった壁は左慈に損傷を与えるも深手を負わされ瀕死に。 攻めあぐねる信を尻目に左慈はこう息巻く。 「剣は力。剣は速さ。共に最上を極める俺は天下最強だ。」 秦国 高級武官 左慈(出典 キングダム (原 泰久) 集英社 ) しかし壁の与えたダメージと信の執念により徐々に動きが鈍り、それを信が見切ったことで最後は信と刺し違えて絶命する。 とにかく自信家の左慈だったが、自らの動きが鈍っていることにも信に斬られたことも気づかず、結局まだ14~15歳くらいの信に見切られ討ち取られた。 信の強さのポテンシャルが高いことを裏付けるが、まだ戦の経験もなく王騎(おうき)や麃公(ひょうこう)のような大将軍との交わりもない信に勝てなかった左慈は天下最強には程遠い強さであったと言わざるを得ない。 同じ時代に生きている、武神龐煖(ほうけん)は当然ながら同国の将軍蒙武(もうぶ)、楚の汗明(かんめい)、当然王騎や麃公・廉頗(れんぱ)などの歴代の列将には到底敵わないであろう。 そういった意味では左慈は物語最初のハッタリキャラであろう。 【結論】天下最強ではない 魏火龍七師の最期の生き残り”知略”の大将軍「呉慶(ごけい)」 秦の六大将軍・趙の三大天と渡り歩いた魏火龍最後の生き残りである呉慶!その強さは最大級の脅威だったはず・・・!? 信の初陣で登場したのが魏の総大将呉慶。秦の六大将軍や趙の三大天という強力な将軍たちと中華を渡り歩いた、魏火龍七師という7人の大将軍のうちの一人である。しかもその最後の生き残りであるという呉慶は、魏火龍の中でも最も強い武将なのでは?と想像してしまう。 それに相対したのが秦の大将軍麃公。「本能型」の麃公と「知略型」の呉慶の対決として両雄譲らない激戦が繰り広げられる。 信らの活躍もあり、麃公は呉慶の本陣に辿りつき一騎打ちとなる。 武力より知略で戦ってきた呉慶は、一騎打ちでは麃公に勝てる見込みはなく、持ち前の知略による立て直しも図れない。元々亡国の王族であった呉慶はその不遇の過去から激情にかられ、智を捨て武で麃公に立ち向かい、多少は巻き返すも、最後は麃公の前に一刀両断されてしまう。 六大将軍や三大天と渡り歩いた将軍が、戦略で負け一騎打ちに持ち込まれ、最後は私怨にかられて無謀に麃公に挑み、歯が立たずあっさり葬られた姿を見ると、「本当に魏を代表した大将軍だったのか?」と疑わざるを得ない死に際であった。 【結論】知略型にしては無謀で弱い 六大将軍を超える実力を持つと自負する蛮将「渉孟(しょうもう)」 王騎を老いぼれ呼ばわりし、趙の三大天の筆頭候補と自負し、新世代の中華に君臨すると豪語するが・・・! 元六大将軍であり、ここまで謎のベールに包まれていた大将軍王騎の復帰戦である馬陽での趙との攻防戦。蒙武の圧倒的な攻めや、王騎から飛信隊の名を授かった信が敵将の馮忌(ふうき)を討ち取るなど活躍するが、蒙武が軍師趙荘(ちょうそう)の策にハマり窮地に陥る。 それに伴い王騎自らが前線に出陣するが、そこに立ちはだかったのが趙将の渉孟であった。王騎軍長の鱗坊も一度やりやった際に渉孟の強さを知り、激しく警戒する。 渉孟は自らを、超大将軍級の実力者だけが称号を得られる趙の三大天になる実力を持ち、時代が時代であれば秦の勇将六大将軍をしのぐ実力も持ち合わせると自負し、相対した王騎に引導を渡すと豪語する。 あの王騎が自分から目の前に現れたよ ククク本当に老いとは悲しいね奴は今自分がどれほど危険な状況にあるのか少しも分かってないあるよ その実力を疑う余地はない しかしその時代に私はいなかった 皆思いしるがいいね この私が六将を超える化け物であることを特に武力だけならあなたなど私の足元にも及ばない王騎過去の遺物とはさよならね これからこの私が中華全土の戦場に君臨する!! 趙国 将軍 渉孟(出典 キングダム (原 泰久) 集英社) 息を巻き王騎に相対するが、その刹那王騎に真っ二つにされてしまう。「え?あ ブヒ」という最後の言葉を残し、自分の死を理解する間もなく瞬殺されてしまった。 圧倒的なビッグマウスと裏腹に瞬殺された豚キャラの渉孟は、キングダムでも類を見ないブーメランキャラとして、ある意味ファンから愛されている。また、衰えない王騎の強さを印象付けた。 【結論】口だけ達者な豚キャラ 六大将軍を寄せ付けなかったと語る魏火龍七師「凱孟(がいもう)」 実は生き残っていた魏火龍の一人である凱孟。六大将軍すら戦いを避けたことを誇るが、本当はたいして強くなかった・・・?? 魏火龍の生き残りは呉慶だけだと思われていたが、実は紫伯(しはく)・霊凰(れいおう)・凱孟の3人が生き残っており、秦へ襲い掛かる。その中でも圧倒的な武力を誇る凱孟が信に前に立ちはだかった。 ユニークで豪快なキャラクター性や、河了貂を捕虜にした際の会話からすると人情味もある憎めない敵将だ。 また、戦に対して強い持論を持つ、生粋の武人でもある。 戦に”光”などない ”意義”だの”夢”だのと語るのは無知なバカ共をかき集める為のただのまやかし戦は強者が欲望のままに弱者を屠(ほふ)る単なる殺戮の場それ以上でもそれ以下でもない 魏国 魏火龍七師 大将軍 凱孟(出典 キングダム (原 泰久) 集英社) 過去その強さから秦の六大将軍も戦いを避けたと自負し、信との一騎打ちシーンでの攻撃力からしてもその強さは確かであると言える。 しかし、王騎が凱孟と対面した際に「あなたは赤ん坊のまま猛牛になった困った人、戦う割に合わない」と相手にされてなかったことや、信も戦いを避けられたのではなく相手にされなかったのでは?と図星をつくような指摘をされている。 河了貂の策により撤退したことで、真の強さは明らかにならなかったが、紫伯を除き意外とあっさり葬られていった魏火龍の面々からすると、他の超大将軍級の列将と比較し弱いのでは?と疑ってしまう。 今後、信の前に立ちはだかることを期待したい。 【結論】列将に相手にされなかった赤子の猛牛? 大将軍級の剛将を自負する楚の将軍「臨武君(りんぶくん)」 大国である楚の将軍は中華の”大将軍級”。まともに戦いたかったら墓場から王騎でも連れてこいと豪語する自称剛将だったが・・・ 合従軍侵攻編において趙に並び大編成で秦に襲い掛かる楚軍。その中でも圧倒的大将軍の汗明から絶対的な信頼を受け、全軍の先陣を切ったのが臨武君だ。 開戦前に元王騎軍長の同金(どうきん)を葬り、開戦後も同じく元王騎軍長の録嗚未を追い詰める強さを見せる。 その際に自らの強さを誇り、大国の楚で将軍になるのは、秦で将軍になるのと格が違う。自らをまともに相手にできるのは王騎くらいだろうと豪語する。 クッ 将軍級だと?笑わせるな 秦の山猿が将軍を語るな 貴様らと楚では”将軍”の意味が違うのだ大国 楚で将軍になることがどれ程のことか貴様らは理解っておらぬ!貴様らと楚では国土の広さが違う故に人の数が違う!つまりは競い合う底辺の数が違うのだ 楚国 将軍 臨武君(出典 キングダム (原 泰久) 集英社) 録嗚未の救出に入った騰と交戦すると、武者震いし秦にも面白い男がいるではないかと舌を巻く。しかし、今までその程度の敵は幾度となく打ち砕いてきたと、自らの強さを疑うことはない。 確かに強い・・・だがな 俺は楚将まで上り詰めて来た男だ 幾度も幾度も貴様のような強者を打ち砕いて来たわァ 楚国 将軍 臨武君(出典 キングダム (原 泰久) 集英社) 何度も楚の将軍の強さが天下の大将軍級であると主張するが、結果的に騰の前に全く歯が立たず瞬殺されてしまう。 王騎と戦場を駆け巡っていた騰が、臨武君を上回る大将軍級の強さを持っていたことは疑いようはないが、騰に全く敵わなかった臨武君は中華の大将軍級の強さがあったか疑わしい。無論、騰が仕えた最強の王騎とまともに渡り歩けたとは到底思えない。 故に大口が先行した、残念な武将の一人として印象付けられてしまっただろう。 【結論】楚の将軍も、ただの将軍だった 合従軍で韓の大将を担った毒兵器使いの大将軍「成恢(せいかい)」 毒の研究に自らの肉体を犯し、毒を用いて秦軍を陥れた韓の将軍成恢。最後は熱き老将に背後から真っ二つ・・・! キングダムのストーリーで未だにあまり描かれていない韓軍。そんな中でも合従軍編で韓が従軍した際に総大将を担ったのが成恢だ。成恢は国門函谷関を守る張唐軍へ毒兵器を放ち、秦軍を苦しめ、老将の張唐大将軍も猛毒により余命いくばくの身体になってしまう。 もともと美男子であった成恢だったか、自らの肉体を犠牲にしてまでも毒兵器を開発し、戦に効率的に勝利するために毒を活用し尽くすという非情な合理性をもった男だった。 成恢の毒攻撃で混乱した函谷関は陥落寸前であったが、桓騎の奇策により張唐は地上に降り立ち、成恢本陣にたどり着く。 張唐の急襲を受けた成恢は、その非情な性格とは裏腹に張唐の迫力に怖気づき、張唐に背を向けて逃走するもあっけなく張唐に一刀両断されてしまった。 キングダムの中でも特異な将軍であった成恢。毒以外に全くいい所がない残念な将軍であった。 【結論】毒だけに頼っていたヘッポコ将軍 軍神楽毅(がくき)の戦術を熟知し、燕を守った救国の英雄 大将軍「劇辛(げきしん)」 李牧を見抜く戦術眼。趙の三大天に入るポテンシャルを持っていた勇将。しかし、最期が残念過ぎた・・・! 中華の西部に秦の六大将軍、中央に趙の三大天、東部にはかつて軍神と呼ばれ後世にも語り継がれる燕の楽毅が存在したことで中華が力関係が均衡していた。 そんな楽毅の戦をその目で見て盗み・記録し・再現することができた劇辛は、もともと趙国の武将であり、そのまま趙にいれば三大天に入っていたと言われるほどの実力者。金に買われ燕に移ったが、その強さにより国を守った救国の英雄として燕に君臨していた。 趙と燕が戦った際には楽毅譲りの戦略眼で李牧の策略をも読み切り、李牧の本陣へ迫る。 しかし、そこに相まみえたのが武神・龐煖であった。劇辛は若かりし頃、出生地の趙の馬陽周辺に武神と自称する求道者という輩が村に悪さをするので、何人か切り殺したと語り、だから龐煖のようなのには慣れていると豪語する。 龐煖との互角の戦いを期待したかったところだったが、結局龐煖の一撃により瞬殺されてしまった。 知略も武力も折り紙つきの強さを誇る劇辛だったのだろうが、龐煖相手にはなすすべなく、ここまでの触れ込みと対照的にとても残念な最期であった。 これまで王騎や麃公、信も龐煖と一騎打ちを演じたが、勝てなくもそれなりに龐煖と渡り歩いた。それからすると瞬殺された劇辛の強さには少々疑問が残ることとなった。 【結論】救国の英雄だったが、ただの将軍級? 咸陽陥落を阻止するための最後の障壁・ 戎籊公(じゅうてきこう)「ワテギ」 嬴政の戴冠を阻んだ毐国(あいこく)のクーデター。陥落寸前の咸陽での最後の強敵が異民族戎籊の王ワテギだったが・・・! 嬴政が成人し国家運営の全権を得ることで本格的な中華統一の道が拓かれる加冠の儀。それを阻止したかった丞相呂不韋(りょふい)の策謀により、太后とその愛人である嫪毐(ろうあい)が企てた毐国の反乱。 信が急遽救出に向かい反乱軍の将軍を討ち嬴政の嫡子を守るも、咸陽はワテギの入城により陥落寸前まで攻め込まれる。それを迎撃に向かったのが普段は前線に出ない軍総司令の昌平君であった。 昌平君が放った包雷という陣に退路を無くすワテギに対し部下は退却を進言するが、「最強の男が王になる、今の王の俺を信じるか?」問いかけ、包雷へ唯一の対策となる主攻への突撃に打って出る。 包雷を読む知略を持ち合わせ勇猛な戎籊の王ワテギだったが。昌平君はそれを蛮勇だと吐き捨て、追う手間が省けたとして正面からぶつかっていく。 そしてワテギとの一騎打ちになった瞬間、昌平君は容易くワテギの首を刎ねてしまった。 昌平君は若き頃蒙武より強かったという逸話があるほどの勇将であったが、これまで前線に出なかったためその強さは未知。しかし信も驚愕するほどの強さを持ち合わせる武将であることが分かる印象的なシーンだった。 異民族戎籊の王として最強の男と自負し、部下を鼓舞したワテギであったが、あっけない幕切れとなった。 【結論】戎籊の王は大したことなかった 以上、キングダムの疑惑のハッタリ武将たちでした。戦った相手の強さによって相対的に描かれていることから、必ずしもここで紹介した武将が弱かったかというとそうでもない可能性もあるものの、触れ込みや言動から比較して残念な最期を迎えたキャラクターたちだったと言えます。